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北欧バックカントリー

北緯67度の旅 ~スウェーデン Vassijaure旅行記~

 

スキーやサーフィンなど、世界のフィールドでアウトドアスポーツを楽しむ福島晴之氏による連載コラム。今回はスウェーデン・Vassijaure(ヴァッシ)地方への旅行記です。

北緯67度のヴァッスヤウレへ

自然あふれる北欧の国、スウェーデン。国土の約7割が森林に覆われ、約9%前後を100,000近くもの湖や川などの水域が占める。
この自然の規模の大きさと安定した雪質で、スウェーデンでは当然のようにスノースポーツが盛んだ。競技志向が強い一方、自然の中で冬を楽しむ生活文化との両方が共存している。

僕の働いている会社はHaglöfs(ホグロフス)というスウェーデンのアウトドアブランドを輸入している。
2023年、ホグロフス本社から、北極圏に近い北緯67度のヴァッスヤウレ(Vassijaure、通称”ヴァッシ”)という場所で5月に行われるブランド主催のイベントに参加しないか、というオファーがあり参加することにした。このイベントはバックカントリースキーという遊びを通して、本社で働く人たちとコミュニケーションを図るとともに、より深くブランドのコンセプトを知ってもらおうという企画だ。

ストックホルム~ヴァッシ 20時間のサステナトラベル

北緯67度の旅 ~スウェーデン Vassijaure旅行記~

日本からスウェーデン(ストックホルム)までは直行便だと14時間程度の飛行だが、僕はタイエアラインでバンコク経由で行ったため、乗り継ぎを含め30時間近くかけて早朝にストックホルム空港に到着した。

ストックホルムからヴァッシまでは夜行列車を利用するため、夕方まで市内を探索して時間を潰し、夕方にストックホルム中央駅で顔見知りのホグロフスチームと合流した。ホームにはすでにKiruna(キルナ・乗り継ぎ駅)行きの寝台列車が僕たちを待っていた。

電車に乗り込むと割り振られた部屋に案内された。3段ベッドの寝台車はお世辞にも広いとは言えない。ぎちぎちに荷物を押し込んだ。しばらくするとホームに大きな汽笛が響き渡り、ゆっくりと電車が動き始めた。それから約20時間かけてヴァッシに到着した。飛行機で行けば1時間ほどの距離なのだが今回のテーマは”サステナトラベル”だ。

北緯67度の旅 ~スウェーデン Vassijaure旅行記~
北緯67度の旅 ~スウェーデン Vassijaure旅行記~

北極圏に到着! テントへ

駅のホームに電車に乗っていた面々が降りたち、駅には現地スタッフを入れて約70名が集まった。目が合うごとに自己紹介を繰り返し、すぐに主催者側の挨拶とこれからの行動の説明がされた。「大きな荷物はスノーモービルで運んでおくので、各々バックカントリーの登坂モードに切り替えて8人ほどのチームごとに分かれてください。」との事。

さっそく日本から持ってきたスキー板にシールと呼ばれる滑り止めを貼付け準備をした。長時間の移動でクタクタだったが、そこからさらにテント場まで1時間ほど登坂した。

テント場には4人1組のテントが18張、そのほかに食事をする大きなメインテント、トイレ用のテント、そしてサウナテントが用意されていた。ちょっとした村のようである。

荷をほどきしばらくするとカンカンとバケツを叩く音とともにメインテントにて夕食の宴が始まった。
ビールを飲み交わし、スキーという共通言語で盛り上がる。「日本の今年の雪はどうだ?」「ニセコに行ったことがあるぞ!」「日本のラーメンは最高だ!」日本への関心も昔とはだいぶ変わったものだ。

この地は北緯67度、北極圏(北緯66度33分以北)に入る。この時期はほとんど日が沈む時間がない。1日を通して夕方のような柔らかい光が続き、日が沈むと思ったら地平線近くを移動しつづける、その光が照らす山々がとても幻想的に見えた。
ドーム型のテントの中は真ん中のポールを囲む形でコットが4つ並べられていた。コットの上にトナカイの毛皮が敷かれ、その上に寝袋が用意されていた。滞在中は気温もそれほど低くならずに快適に過ごすことができた。

北緯67度の旅 ~スウェーデン Vassijaure旅行記~

バックカントリーと楽しい宴

翌日からレベルに応じたグループに分かれ、バックカントリーツアーが始まった。Haglöfsで働く人たちは山登りが得意な人ばかり、彼らのペースについていくのは少ししんどかった。

日中は太陽で暖められた雪が融けてスキーが走らない。北極圏に近いこのエリアでは針葉樹がまばらにある程度で、山の上に登るほど木々は少なく、岩肌がところどころに露出しているので注意して滑らなければ転倒してケガをしそうなコンディションだった。しかし、ガイドはこの土地で生まれ育ったプロフェッショナル達、もちまえのホスピタリティと適切なガイディングで皆を楽しませてくれた。

夜は連日メインテントにてトナカイの肉やミートボールなどが振舞われる。食事が終わればバンドが来てパーティが始まる。ほぼすべての人たちと笑い、語り、楽しい時間を共有した。僕はこのHaglöfs(ホグロフス)というブランドがますます好きになった。

北緯67度の旅 ~スウェーデン Vassijaure旅行記~

4泊の滞在を終えると、行きと同じように20時間の電車の旅と30時間の飛行機による移動で帰路に着いた。シャワーもウォシュレットもない生活、自分もすこし野生を取り戻せたような気がした。

  • Haglöfs(ホグロフス)
    今から100年以上前の1914年にスウェーデン・ダーラナ地方でスタートしたアウトドアブランド。創業以来のクラフトマンシップと確かな技術力で、北欧の厳しい自然環境に対応するハイパフォーマンスなバックパックやウエアを世に送り出している。北欧らしい洗練されたデザインと独特な色使いも魅力。
  • バックカントリー(Backcountry)
    管理・整備されていない自然の雪山エリアで行うスキーやスノーボードのこと。
    ゲレンデ(スキー場の管理区域)の外、リフトや圧雪のない自然斜面を自分の力で登って、滑るスタイル。自然の地形、雪質を選んで滑走し、パウダースノーや広大な斜面を楽しむ。
  • バックカントリーの登板モード
    スキーで山を登るときに使うビンディング(スキーとブーツを固定する装備)の歩行・登高用モードのこと。通常の滑走モードではブーツはかかとまで固定されているが、登板モードではつま先のみの固定で、かかとは自由に上下に動く状態になる。これにより、歩くような自然な動きで雪山を登ることができる。
  • シール
    登板モードとセットで使い、スキーの滑走面に貼る。前には滑り、後ろには滑らない構造。登り終えたら剥がして収納。
執筆者
福島 晴之

福島 晴之

Fukushima Haruyuki

18歳まで神奈川県逗子市で育ち、現在は東京都在住。日本や海外各地の海や山での経験を経て今に至る。
1999年にスリランカで初となるサーフショップ「A Frame Surf」を地元ローカル達と立ち上げる。
株式会社RCTジャパンにて、People CounterやIT事業、北欧アウトドアブランド「Haglöfs」「D_b_」などの日本代理店を営む。

趣味はサーフィン、スキー、キャンプ、旅、釣りなど、日本や海外の自然のフィールドで楽しんでいます。
最近のコラム:サーフィン~ポルトガル編~

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