栗林隆(くりばやし・たかし/1968年-)は、長崎に生まれ育ち、現在はインドネシアと日本を往復しながら活動するアーティストです。活動開始から一貫して「境界」をテーマに、ドローイングや、インスタレーションや映像などの多様なメディアを用いて身体的体験を観客にうながす作品を国内外で発表してきました。
彼の作品は、自然と人間の関わりに対する本人の深い関心から生まれてきました——展示室の中に和紙で作られた林が広がる《Wald aus Wald (林による林) 》(「ネイチャーセンス展」2010年、森美術館)、そして薬草による蒸気で満たされた、原子炉の形を模した構造物の中で他の鑑賞者とともに過ごす〈元気炉〉シリーズ(2020年-、下山芸術の森 発電所美術館ほか)、タンカーを様々な生態系が共存する一つの場として、さらには思想や作品を運ぶプラットフォームとして捉えた《Tanker Project》(2021年-)などといった作品は、いずれも私たちの認識を揺るがすような刺激に満ちています。
本展は、そうした作家の視点によって生み出された、葉山館展示室外のさまざまな空間を利用した個展となります。本来展示空間ではないスペースのために発案されたインスタレーションをはじめとして、未発表のドローイングや映像作品なども展示することで、近年ますます活躍の場を広げている作家の過去と未来の「境界=今」をご覧いただきます。
展覧会のみどころ
1. 国際的に活躍しているアーティスト、栗林隆の大規模個展
大学時代を過ごしたドイツのカッセルで5年毎に開催される現代アートの国際美術展「ドクメンタ15」(2022年)や、「六本木アートナイト2023」のメインプログラム・アーティストに選ばれた栗林隆。本展は、いまもっとも注目されている作家が葉山館展示室の「外」で展開するかつてない個展となります。
2. 新作のインスタレーション、未発表のドローイング作品を展示
葉山の海と山に囲まれた自然の中で、普段展覧会では使わない空間を活用し、新作のインスタレーションを発表します。また、未発表のドローイングや映像作品も紹介することによって、これまでの30年近くにおよぶ作家の思考をたどります
オープニング・イベント
ドクメンタ15参加作品《蚊帳の外》の一部を特別展示し、CINEMA CARAVANプロデュースによるオープニング・パーティーを開催します。ふるってご参加ください。
☆2024年12月14日(土)
開会式、アーティスト・トーク 15:00~16:00
オープニング・パーティー 16:00 ~17:30
公式図録
「栗林隆 Roots」3,630円(税込・予価)出版:求龍堂
2024年12月14日、求龍堂より公式図録として発売されます。30年近くにわたる作品や詳細な作家活動歴などを盛り込んだ決定版となります。
<同時開催>
☆鎌倉別館
●2024年11月2日(土)~2025年1月19日(日)
コレクション展「たいせつなものⅠ―新収蔵作品展 2015~2019」
●2025年2月1日(土)~4月13日(日)
企画展「岩竹理恵+片岡純也×コレクション 重力と素材のための図鑑」